第26章 一体何が起きたのか

佐々木隆美は、バックミラー越しに後部座席の人物へと視線をやった。

記憶が確かならば、別れ際まで社長のジャケットは確かにその身にあったはずだ。だが今は、ワイシャツ姿になっている。

「車にお忘れでしょうか? 今すぐ取って参りますが」

佐々木隆美は尋ねた。

これから会社に戻る予定だというのに、社長がシャツ一枚というのは体裁が悪いだろう。

桐島征十郎は淡々と答えた。

「いや、いい。会社の休憩室に予備がある」

佐々木隆美はそれ以上詮索せず、車を発進させた。

彼らの車が視界から消えるのを待って、桐島翔太がドアを開け、車に乗り込んできた。

車内に入り、藤咲花音の姿を目にした瞬間、彼は桐島...

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