第27章 藤咲花音、またお前か

重苦しい沈黙が流れた。

ようやく、桐島翔太が口を開いた。

「カノン、俺は君の夫だぞ。八年も愛し続けてきた相手だ。君がこんな様子で帰ってきて、心配しないわけがないだろう」

彼は血の気のない藤咲花音の顔を見つめ、神妙な面持ちで続けた。

「俺の妻が誘拐され、服を乱して帰ってきたんだ。誰だって悪い想像をする」

彼がようやく本音を吐露したのを聞き、藤咲花音は想像していたほどの嫌悪感は抱かなかった。

むしろ、桐島翔太が自分を疑っているという事実を、驚くほど冷静に受け止めていた。

「私があの人たちに抱かれたと思っているのね」

彼女は淡々と言った。

桐島翔太は彼女を見つめたまま、言葉を返さ...

ログインして続きを読む