第318章 認知症

竹多はソファに腰掛ける人物へ視線を落とした。

一条家がわざわざ自分を呼び寄せたのだ、一条の奥方の容態が一筋縄ではいかないことは察していた。

だが、まさかこれほど重症だとは。

一条の奥方といえば、常に何不自由なく暮らし、手入れの行き届いた容姿は年齢を重ねてなお若き日の面影を色濃く残している。

今の魂が抜けたような姿は、その美しい器に到底見合わない。

誰がこの惨状を目にしても、胸を痛めずにはいられないだろう。

それは竹多とても同じだった。

「診せてもらうぞ」

一歩踏み出し、夫人の傍らに腰を下ろす。

夫人は酷く怯えた様子で、びくっと身を縮めて隣へ逃げようとした。

すかさず一条愛...

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