第319章 盾

夜、藤咲花音は桐島征十郎との通話を終えて家に戻った。

玄関のドアを開けた途端、中から祖母の話し声が聞こえてきた。

「そうそう、そのくらいに切って。若いのに包丁さばきが見事だねえ」

祖母の声には、隠しきれない好意が滲んでいた。

続いて、藤咲花音の耳に少し聞き覚えのある声が届いた。

「俺、家でよく母さんの手伝いをしてるんですよ」

祖母が言う。

「よし、切り終わったら向こうで休んでおいで。先輩ももうすぐ帰ってくる頃だから」

石野幸治は素直に返事をし、キッチンから出てきた。

ちょうど、藤咲花音がキッチンの入り口に差し掛かったところだった。

視線が絡み合い、藤咲花音は少し不思議そう...

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