第33章 誘ったのは私

桐島翔太は、組み敷いた身体をまるでおごそかなもののように見つめた。

「カノン、やっと俺のものになるんだ」

藤咲花音は人形のように反応を返さないが、そんなことは些細な問題だ。身体を重ね、一つになりさえすれば、二人の関係はきっと元通りになる。

そう信じ込み、翔太は心の奥底に湧いた僅かな罪悪感を押し殺して、再び身を屈めた。

その時、花音の意識がようやく現実へと引き戻された。

下腹部に押し当てられ、自身の肌を擦る硬い熱を感じる。こみ上げてきたのは、心底からの嫌悪と吐き気だった。

パァンッ!

乾いた音が、部屋に充満していた淫靡な空気を切り裂く。

翔太は頬を押さえ、呆然と彼女を見つめた。...

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