第360章 彼はどうしたんだ

主治医はしばらく丁寧に説明を続け、桐島征十郎は神妙な面持ちで一言も漏らすまいと頭に叩き込んだ。

帰り際、主治医は藤咲花音へ柔らかく笑いかける。

「桐島社長は奥さまのことを本当によく気にかけていらっしゃいますね。これなら奥さまも、これから先つらい思いをしないで済みますよ」

花音は頬がかっと熱くなり、礼儀正しく微笑み返した。

病院を出てからも、征十郎はときおり眉間にしわを寄せ、彼女のお腹へ視線を落としては、また上げる。その中に「二人」いるという事実が、どうにも飲み込みきれないらしい。

「もしあいつらが君を困らせるようなことがあったら、すぐ俺に言え」

やけに真面目な顔で言うものだから、...

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