第361章 どこで会ったことがあるのか

帰り道、藤咲花音はどこか上の空だった。

その様子に気づいた桐島征十郎が、気遣うように尋ねる。

「何考えてる?」

藤咲花音ははっとして顔を上げた。

「玲子姉さんと、勝則のこと……」

桐島征十郎が目を細める。

「俺の隣で、別の男のこと?」

藤咲花音は呆れたように彼を見た。

付き合い始めてからというもの、桐島征十郎の独占欲は、隠すどころか日に日に露骨になっている。

「違うの。ただ、勝則はそんな人じゃないって思うから」花音は言葉を選びながら続けた。「前に玲子姉さんが海外に行くって言い出したとき、勝則、すごく焦ってた。玲子姉さんも、あの時期ずっと連絡してきてたって言ってたのに……」

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