第384章 彼女に会いに来た

同じ頃――。

病院の外。入口の前に、ベントレーが一台、音もなく停まっていた。

桐島征十郎は後部座席に腰を下ろしたまま、病院の方角をじっと見つめている。眉間には、重たい影が落ちていた。

脇でスマホの画面が光る。

石野幸治からのメッセージ――

「手術は終わりました。先輩は今、ICUです」

前半を読んだ瞬間、桐島征十郎の眉がわずかに緩む。だが次の「ICU」の文字が視界に入った途端、表情はまた硬くなった。

返信はしない。彼は車を降り、病院の中へ入ると、藤咲花音の執刀医を探し当てた。

「詳しい状況は、すでにお祖母様へお伝えしています」

主治医は淡々と言う。

「刺された位置が非常に危...

ログインして続きを読む