第388章 君を連れて行く

若林勝則が来た以上、石野幸治にこれ以上ここへ残る理由はない。

「それじゃあ、先に失礼します。藤咲のお祖母様」

石野幸治は祖母に頭を下げた。

「先輩が目を覚ましたら、ひと声いただけますか」

「ええ、分かったわ」

祖母がうなずくのを見届け、石野幸治は病室を出ていった。

残されたのは、祖母と若林勝則の二人だけ。

若林勝則は藤咲花音のここ数日のカルテに目を通していた。

その静けさを破ったのは、祖母の声だった。

「勝則、お祖母さんのお願いをひとつ聞いてちょうだい」

いつもと違う気配に、若林勝則は手を止め、首だけを巡らせた。

祖母はベッドへ歩み寄り、まだ眠ったままの孫娘を見下ろす。...

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