第78章 抑えきれなかった

藤咲花音はすでに下駄箱を回り込み、廊下の角に差し掛かっていた。

不意に桐島翔太に腕を引かれる。

上半身はふわりと彼の方へ引き戻されたが、足元は無情にも下駄箱に阻まれてしまった。

ズキリ、と鋭い痛みが足首を貫く。

藤咲花音は無様に床へ座り込み、その顔からは瞬時に血の気が引いた。

花音?」

彼女が転倒したのを見て、桐島翔太の顔から怒色が消え失せる。彼は慌ててしゃがみ込んだ。

「どうした? どこかぶつけたか?」

彼は手を伸ばし、藤咲花音の怪我を確かめようとする。

藤咲花音は痛む足首を押さえながら、冷ややかな表情でその手を払...

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