第85章 叔父さん、いいですか

一方その頃。

病院の病房にて。

桐島蘭子は血色の良い顔でベッドに横たわり、その傍らには桐島翔太が不機嫌そうに座っていた。

「母さん、もう大丈夫なら俺は帰りますよ」

桐島翔太はそう切り出した。

朝一番に病院へ呼び出されたものの、桐島蘭子にはこれといった異常は見当たらなかった。単に口実を作って、彼を一日中病院に縛り付けていただけなのだ。

帰ろうとするたびに、桐島蘭子は頭が痛いだの熱っぽいだのと騒ぎ立て、頑として彼を帰そうとしなかった。

「まだ入院中だというのに、そんなに急いでどこへ行くつもり?」桐島蘭子は不快感を露わにした。「ナナちゃんから聞いたわよ。昨日は早々に仕事を切り上げて、...

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