第105章

阿部美奈の父は交通事故に遭い、下腿骨折の重傷を負っていた。

ベッドの上で身動きも取れずにいる彼の傍らには阿部柚汰が立ち、苦痛にのたうち回るその姿を冷酷な眼差しで見下ろしている。

「金はやらねえって言っただろ」

阿部美奈の父は必死に阿部柚汰の手首を掴んだ。

「金がないだと……当初、娘が事故に遭った時、お前はそんなことは言わなかったはずだ! 美奈が死んでも一生俺の面倒を見る、老後の世話をすると言ったじゃないか!」

「確かに言ったな。だが、それは俺が破産する前の話だ。それに……」

阿部柚汰は無慈悲にその手を振り払った。

支えを失った阿部美奈の父は無様に床へと転げ落ち、折れた足がベッド...

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