第125章

結局、山下麻友はその黒のベントレーに乗り込んだ。

車内の空気は相変わらず重苦しく、息が詰まりそうだった。麻友は窓を開け、秋の涼しい風を招き入れることで、ようやくその窒息感を少し和らげた。

隣の山口洸人は書類に目を落としたままで、終始一言も発しなかった。

二十分後、車は華都芸術学院の正門をくぐった。

キャンパスは華やかに飾り付けられ、至る所に「創立百周年記念」のスローガンやパネルが見受けられる。お揃いのボランティアスタッフ用ウェアを着た学生たちの顔には、青春の輝きが満ち溢れていた。

車はレッドカーペットの前で停車した。すでに記者がカメラを構えており、早朝の光の中でフラッシュがやけに鋭...

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