第130章

山口洸人と橋本美波の二人が肩を並べてホテルへと消えていくのを見送ると、柱の陰から山下麻友が姿を現した。

足が止まる。あの中には入りたくない。

もし同級生たちに見られれば……格好の噂の種になるだろう。

笑い者になんてなりたくない。

いっそ……。

帰ろうか?

一度浮かんだ逃避の念は、もはや抑えようがなかった。麻友がきびすを返したその瞬間、誰かと激しくぶつかった。

お互いによろめき、後ずさる。

麻友の背後には柱があったが、相手には支えがない。その人物は無様に尻餅をついた。

佐藤伶は肩を押さえ、顔を上げるなり罵声を浴びせた。

「あんた病気? それとも目が節穴なの? ったく……って...

ログインして続きを読む