第140章

入院中の山下麻友のもとには、連日多くの見舞い客が訪れていた。

そのほとんどが会社の同僚たちだ。彼らが腹の底で何を考えているかはさておき、麻友にとっては迷惑極まりない話だった。

見舞いという名目の探り合い――それが彼らの本音だと、麻友も十分承知していたからだ。

三日目、主治医の診察で経過良好と判断され、麻友は退院することになった。

夕暮れ時、着替えをまとめて荷造りをしていると、病室のドアがノックされた。

フルーツバスケットを提げて現れたのは、山口文也だった。彼は麻友がスーツケースに服を押し込んでいるのを見て、少し驚いたように尋ねた。

「もう退院するのかい? あと二、三日ゆっくりすれ...

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