第143章

石川太陽は生唾を飲み込み、恐る恐る指摘した。

「ですが、あの部屋はもう山下さんに賃貸契約で貸し出しているはずでは……」

まさか今さら契約を破棄して、権利関係を白紙に戻すつもりなのだろうか。

山口洸人は鼻で笑った。

「俺がそんなケチな人間に見えるか?」

石川太陽は首を傾げた。

では、山口社長はいったい何をしようというのか。

……

山下麻友は帰宅前にスーパーへ立ち寄り、夕食の食材と、明日の配信で使うケーキ作りの材料を買い込んだ。ライブ配信を再開するつもりなのだ。

家に着き、鍵を開けようとした瞬間、違和感を覚えた。

スマートロックが、妙に新しいのだ。

以前のものは左下の角に引...

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