第149章

山下麻友はドアの前で立ち尽くしていた。

山口洸人がふと視線を上げ、彼女を見る。

「このホテルに、もう空き部屋はないそうだ」

今ここを出て行けば、泊まるあてもなく、路頭に迷うことになる。

麻友は深く息を吸い込んだ。

「……わかったわ。今夜はここに泊めてもらう。ホテル探しは明日にする」

だが、留まると決めたものの、一つ難題があった。

このスイートには寝室が一つ、ベッドも一つしかない。リビングにはソファーがあり、そこそこ大きいとはいえ、まさか家主である山口洸人をソファーに追いやるわけにはいかない。

ここはあくまで、彼の部屋なのだから。

思い悩んだ末、麻友は自分がソファーで一晩しの...

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