第168章

山下麻友は、一分でも長く留まれば誰かに絡まれるのではないかと恐れ、逃げるようにその場を後にした。

家に帰ると、ただひたすらに連絡を待ち続けた。

そして、あっという間に二日が過ぎた。

日中、彼女は会社に出向いた。会議を終えると、山口文也が麻友のオフィスに姿を現した。

「何かトラブルにでも巻き込まれたのか」

麻友は一瞬ハッとした。小林柚奈の件は、山口文也はおろか、社内の誰にも話していない。彼女は思わず眉をひそめた。

「別に、何もありませんよ」

「俺にも隠し事か」

山口文也は小さくため息をつき、呆れたような視線を彼女に向けた。

「本当に何でもないんです」

麻友は頑なに認めようと...

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