第178章

一日休めば、山下麻友はすっかり回復した。

退院してまず向かったのは、小林柚奈の病室だった。

扉をそっと押し開けると、柚奈はベッドの上で穏やかな寝息を立てている。母親の姿は見当たらない。またどこかへ行ったのだろう。

麻友は音を立てないようにドアを閉め、ベッド脇の椅子に腰を下ろした。柚奈の寝顔はあまりに安らかで、起こす気にはなれない。少しだけ見守って、それで帰ろう――そう思った、そのとき。

廊下側から話し声が聞こえた。

「まあ、こんなにしてもらっちゃって……悪いわねえ」

麻友が身じろぎする間もなく、病室のドアが開く。

そしてそこに立っていたのは、同じ空間にいるはずのない二人だった。...

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