第183章

山口洸人は横目で彼を一瞥し、「行かない」と吐き捨てた。

小川渚は笑みを浮かべたまま覗き込む。

「本当に行かないの? このクライアント、もしかしたらあんた、会っておきたくなるかもしれないよ。行かなくて後悔しても知らないから」

「お前の客に興味はない」

二人の会社には取引こそあるが、目指す方向はまるで違う。運営の思想だって合わない。小川渚の客など、洸人にとって話す価値すらない相手だった。

車が小川家の前で停まる。小川渚が降り、ドアを閉める前に洸人を振り返った。

「一応、聞いたからね」

意味の掴めない言い回しに、洸人は本能的に嫌な予感を覚えた。

「何が言いたい。回りくどいのは嫌いだ...

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