第29章

松本綾乃は、山下麻友の青白くやつれた横顔を見つめ、胸が締め付けられる思いだった。

かつての麻友はもっと輝いていた。多少気は弱かったけれど、よく笑い、豊かな感情を持っていたはずだ。それが今や、生きる屍と何が違うというのか。

綾乃は、かつて才気溢れていた親友がこうも無惨に壊されていく姿を、これ以上黙って見ていられなかった。

彼女は麻友の手を強く握りしめた。

「麻友、諦めないで。戻ってきてよ、もう一度配信を始めよう! あんたの歌をみんなに聞かせるの。橋本美波が賞を取ったあの曲だって、元はと言えばあんたのパクリじゃない。盗まれたものを、あんたの手で取り戻すんだよ!」

その言葉は、鋭い針とな...

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