第30章

山下麻友は慌てて松本綾乃の腕を掴み、それ以上喋らせまいと制止した。

山口洸人の顔色は見る見るうちに陰り、全身から危険極まりないオーラが立ち昇っている。

「綾乃、橋本さんに謝って!」

麻友は事態の悪化を察知し、すぐに口を開いた。

彼女は誰よりも知っている。山口洸人という男を敵に回してはいけないと。

彼がその気になれば、指先一つ動かすだけで、松本綾乃の人生など簡単に握り潰せるのだ。

だが、松本綾乃は激しく麻友の手を振り払った。

「麻友、気が狂ったの? なんで私がこんな恥知らずな浮気相手に謝らなきゃいけないの? 謝るべきはあっちでしょう!」

「もうやめて!」

麻友は気が気ではなか...

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