第33章

山下麻友が目を覚ましたとき、そこは見知らぬ部屋だった。首の後ろに、ツンと刺すような痛み。ソファーに手をついて身を起こすと、バスルームのほうからシャワーの水音が聞こえてくる。

――私、殴られて気を失った……?

バスルームのガラス扉に、男の影がぼんやり映った。山下麻友は息を呑み、ソファーから転げるように立ち上がると、そのまま部屋を飛び出した。

扉を押し開けた先は、薄暗い長い廊下。突き当たりのベランダに、見覚えのある背中があった。

反射的に声が出る。

「山口――んっ……!」

次の瞬間、背後から口を塞がれた。

「チッ……!」

青木岳斗は内心で舌打ちした。ほんのシャワーのつもりだったの...

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