第34章

大旦那様が亡くなってから、山口家の実権は叔父に移った。もっとも、この数年で山口洸人の勢いは目に見えて増し、山口家の権限も少しずつ彼の手に集まりつつある。

それでも叔父は前代の当主で、なお手元に旧勢力をいくらか抱えている。年長者でもある以上、最低限の面目は立てねばならなかった。

山口家の門をくぐると、叔父と大奥様がソファに並んで座っていた。

大奥様はにこにこと目を細める。

「洸人、おかえり」

山口洸人は短く「うん」とだけ返し、大奥様のそばへ歩み寄ると、黙って茶を一杯いれた。

その様子を見ていた叔父は、ふんと鼻を鳴らす。

「山口洸人、お祖母ちゃんの前で猫をかぶるな。青木グループの青...

ログインして続きを読む