第34章

道中、阿部雄輝はずっと口を真一文字に結んでいた。

会社が近づいた頃、ようやく彼は口を開いた。

「お前と山口洸人は、一体どういう関係なんだ?」

その言葉に、山下麻友は居心地の悪さを感じた。

「申し訳ありません、阿部社長。今日は私のせいで……本当にすみませんでした」

彼女は誠心誠意詫びながら、バックミラー越しに阿部雄輝を盗み見た。

彼の額は痛々しいほど高く腫れ上がり、見るも無惨な有様だった。

阿部雄輝は力なく手を振った。

「もういい、いつまでもこうしているわけには……いや、やめよう。俺ごときが、人の家庭を壊すなんて大それたこと、できるわけないだろう」

「頼むよ、山下。あいつに俺...

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