第36章

「従兄」

山口文也は、灯りがきらびやかな別荘をちらりと見上げて、すぐに察したように言った。

「つらい思いをしただろ。智也はああいう性格なんだよ。口は悪いけど、腹の底からお前を憎んでるわけじゃない」

山下麻友が問う。

「従兄……何か知ってるの?」

理由もなく愛されることも、理由もなく嫌われることもない。

「俺が何を知ってるってんだ。毎日仕事で手一杯で、家に帰る暇もない。おばあちゃんにはいつも小言を言われてるよ」

麻友は文也をじっと見つめた。

「従兄は智也に会いに来たんでしょ。じゃあ、私は先に帰る」

「お前の件は、聞いた」

文也がここへ来たのは、山口智也に会うためでもあり、山...

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