第40章

「いい度胸だな」

山口洸人の眼光は刃のように鋭く、中島渉は喉まで出かかった言葉を慌てて飲み込んだ。

「失せろ」

山口洸人は冷ややかに吐き捨てた。

中島渉は気まずそうに鼻をさすり、これ以上虎の尾を踏むまいと、救急箱を提げてそそくさと退散した。

リビングに静寂が戻る。

山口洸人は疲労の色を滲ませてソファに深く沈み込んだ。背中から襲い来る痛みの波が、彼を苛む。

彼は携帯を取り出し、無意識に画面をスクロールさせた。まるで、誰かからの連絡を待っているかのように。

一方その頃、寝室では――。

山下麻友はまだ眠れずにいた。

心臓の鼓動が早い。先ほど微かに漂っていた血の匂いは、気のせいで...

ログインして続きを読む