第40章

山下麻友はスマホを置き、白くなるほど指先を握りしめた。

「私が引いたら……みんな、私がやましいから逃げたって思う」

たとえあとから真相が明らかになったとしても、誰も信じない。彼女が誰かを雇って「黒を白にひっくり返そうとしている」と決めつけるだけだ。言葉の力は、人を壊せる。

キーボードの陰に隠れて、匿名で好き放題に書き散らす。ひと文字ひと文字が刃物で、平気で人を殺す。

阿部雄輝も当然、それをわかっていた。

「で、お前はどうしたい?」

「いつも通りにします。出勤も続ける。あと、投稿したやつも追います」

噂へのいちばんの対処は、逃げないことだ。堂々と正面から叩き割る。

「わかった。...

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