第42章

車内は、死のような静寂に包まれていた。

山下麻友は窓に寄りかかり、目を閉じる。心身ともに疲れ果てていた。

彼女は背を向け、窓の外へと顔をそむけた。

彼もまた口を開こうとはしない。だが、怒っていることだけは痛いほど伝わってくる。

突き刺さるような視線の熱が、彼女の頬を焼き続けていた。

この沈黙は、罵り合いよりも遥かに息が詰まる。

麻友は顔を完全に背け、彼の視線も、頭の中を駆け巡る雑音もすべて遮断した。

車はほどなくして、山口文也から指定された品格のあるレストランの前に到着した。

車が停車するやいなや、麻友はシートベルトに手を伸ばした。

だが、その手を大きな掌が覆い、動作を制止...

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