第43章

山下麻友は胸が締めつけられるような感覚を覚えた。

彼女は唇をきつく結び、こみ上げる感情をすべて心の奥底へと押し込んだ。

監視カメラの映像を何度も見返し、どんな些細な手がかりも見逃すまいと目を凝らす。

不意に、ホテルの側面にある交差点の、目立たない一角に視線が釘付けになった。

真っ赤なスポーツカーが一瞬だけ横切った。映像は不鮮明だったが、麻友はそのナンバープレートを一目で見抜いた。田中家の車、それも田中紗英の愛車だ。

京の都における名家には、一目でそれと分かる特別なナンバーが存在する。

あの赤いスポーツカーは、以前彼女に泥を跳ねかけて走り去った車そのものだった。

犯人は、田中紗英...

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