第6章

彼、山口洸人の周囲には、山下麻友も見知った顔がいくつかあった。友人で病院長の中島渉、そして二代目の田中紘也だ。

田中紘也はだらしない様子でこちらを一瞥した。

「おっ、あれ山下麻友じゃね?」

視線が一斉に向けられた。

その時、山下麻友はちょうど佐藤社長から渡された名刺を受け取ったばかりで、唇にはまだ笑みが残っていた。

その場の空気が何を意味するか、誰の目にも明らかだった。

佐藤社長たちも山口洸人に気づき、顔色を変えて先を争うように小走りで駆け寄った。

「おやまあ、山口社長、こんなところでお会いできるとは。お噂はかねがね……」

「覚えておいででしょうか、佐藤龍斗です。以前名刺をお...

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