第67章

「ネットの噂は目に入っているが、私からの助言は『とりあえず放っておけ』だ」

山口文也は言葉を選びながら言った。

「噂というものは、反応すればするほど、火に油を注ぐことになりかねない」

「私もそう思っていました」

山下麻友は何か言いたげな視線を彼に向けた。

「……噂が本当かどうか、心配ではないのですか?」

「それで、本当なのか?」

山口文也は逆に問い返した。

山下麻友はしばし沈黙し、答えようと口を開きかけたが、山口文也はそれを手で制した。

「いい、言わなくていい」

彼は引き出しから、一つの細長い箱を取り出した。

「これを君に」

「そんな、受け取れません」

箱を開けるま...

ログインして続きを読む