第81章

「山下麻友、あんた狂ってる!」

佐々木陽奈は恐怖で心臓が破裂しそうだった。自分が高所恐怖症だなんて、今の今まで知らなかったのだ。

かつて飛行機の窓から街並みを、あるいは世界そのものを見下ろした時は、恐怖など微塵も感じなかったのに。

今、彼女の肝は冷え切り、恐怖で引き裂かれそうだ。

「山下麻友……離して……お願い、落ち着いて……」

強気な態度は見る影もない。

「話し合いましょう……こんなことして、どうなるか分かってるの……復讐できたとしても……あんた自身も終わりよ!」

猛烈な寒風が頬を打つが、佐々木陽奈は目を開けることすらできない。

その声は震えていた。

「お、お父さんのこと...

ログインして続きを読む