第84章

「こちらへどうぞ」

佐々木晶斗が踵を返し、階段を上り始めたその時、背後から山下麻友の声が響いた。

「いつ私が謝るなんて約束した?」

佐々木晶斗が振り返ると、山下麻友と山口洸人の間に、今にも火花が散りそうな険悪な空気が流れていた。彼女は彼より背が低いが、その迫力においては一歩も引いていない。

「どうして私が彼女に謝らなきゃいけないの? 人殺しに頭を下げる義理なんてないわ」

山口洸人は声を潜めて言った。

「お前の望み通りにしただけだ」

「山口家と松本家のバランスを取るために私に頭を下げさせたいなら、そうはっきり言えばいいでしょ。私のせいにしないで」

山下麻友は彼に一切の容赦をしな...

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