第86章

山口大奥様は目を細め、にこやかに言った。

「はいはい、わかってますよ。うちの麻友ちゃんは顔が薄い……じゃなくて、恥ずかしがり屋さんだものね。もう言わないから、さあ、ご飯にいらっしゃい」

山下麻友は心の中でそっと溜息をついた。

食事が済み、山下麻友は暇を告げようとした。

山口大奥様は小さく息を吐いた。

「みんな忙しいのはわかってるよ。洸人も朝早くに慌ただしく出て行ったし、あんたももう行かなきゃならない。でもね、お祖母ちゃんの言葉を忘れるんじゃないよ。忙しいのはいいことだけど、体だけは大事にしなさい」

山下麻友は頷いた。

「はい、お祖母様も」

車に乗ろうとした瞬間、何か虫の知らせ...

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