第1章
「一度、二度……落札。それを包んで」
私は使い古されたスーツケースをカウンターに叩きつけた。静寂の中、現金の重い音が響き渡り、私は競売人を冷たい視線で射抜いた。
「そのダイヤは私がもらう」
「シチリアの薔薇」は母の遺産だ。これを取り戻すまでは絶対に帰るつもりはなかった。
だが、ベルベットの箱に手を伸ばしたその瞬間、派手な赤い手袋に包まれた手が、その上にピシャリと叩きつけられた。
「そう急がないで」背後から、人を小馬鹿にしたような声が響いた。
振り返ると、仰々しいドレスに身を包んだ女が、私の着古したトレンチコートを見下していた。ケイラ・ブレイク。かつて私に媚びへつらっていた、悪趣味な令嬢だ。
「このちっぽけなガラクタの所有権は、現在……審議中なのよ」彼女は葉巻の分厚い煙を、私の顔めがけて直接吹きかけた。
「どういう意味?」私は眉をひそめ、煙を手で払いのけた。
ケイラは指輪で重たそうな指先を使って、私の肩から見えない埃を払う仕草をした。その表情は完全な嫌悪感に歪んでいる。「どういう意味かって? 自分の姿を見てみなさいよ、ノエル。施しを受ける哀れな女みたいな格好で、地下室の臭いがするスーツケースを抱えて、ヴァンチェッティ家の至宝を奪おうっていうの? この石の保険料だって払えないくせに」
私は彼女の挑発を無視し、急に滝のような汗を流し始めた競売人と視線を合わせた。
「これはヴァンチェッティの『血の債権』よ」
私は現金の入ったスーツケースを指で強く叩き、反論の余地を与えない口調で言い放った。「委員会の古い掟によれば、テーブルに積まれた現金はいかなる入札にも優先する。わざわざ歴史の授業をしてあげる必要がある?」
「掟ですって?」ケイラは笑い声を上げた。オークション会場に響き渡る、耳障りな甲高い声だ。「夢でも見てるの、お嬢ちゃん? このニューヨークで意味を持つ掟は、フェラーロの掟だけよ!」
私が反応するよりも早く、青ざめた競売人がスーツケースを私の方へ押し戻してきた。
「申し訳ありません……ヴァンチェッティのお嬢様。この取引は成立させられません。フェラーロの奥様が望むものは、フェラーロの奥様の手に渡る決まりなのです」
周りを取り囲んでいた群衆が、まるで私の名字が疫病神であるかのように、潮が引くように後ずさりし始めた。
「ほら、見たでしょ?」ケイラは身を乗り出し、勝ち誇ったような笑みを浮かべた。「私の婚約者が言っていたわ。ヴァンチェッティの財産に関しては、犬が吠えるのにも彼の許可がいるってね」
婚約者。
私の眼差しが鋭く冷たくなる。コートの生地を握りしめる手には、爪が手のひらに食い込むほどの力が込められていた。「あの裏切り者が、あんたにそこまでの権力を与えたっていうの?」
「口の利き方に気をつけなさい」ケイラは孔雀のように顎を反らし、鋭く言い放った。「マルコは新しいゴッドファーザーよ。そしてあんたは? ノエル、あんたは三年前に彼がゴミ箱に捨てた、ただの壊れたおもちゃに過ぎないのよ」
マルコ……フェラーロ。
その名前を聞いた瞬間、心臓が鷲掴みにされた。裏切るだけでは飽き足らず、私の目の前で自分の戦利品を見せびらかそうというのか? こんな空っぽな女を送り込めば、私が屈するとでも思っているのか?
ケイラは私が涙を流して逃げ出すのを期待し、得意げな顔で待っていた。だが、私は一歩たりとも後ずさりしなかった。
両の掌をガラスのカウンターに強く押し当てた。今にも叩き割ってしまいそうなほどの力で。私にはもう、失うものなど何もない。
「私は帰らない」氷のように冷たい声で、私は言った。「これを取り戻すまでは」
怒る代わりに、ケイラの唇に冷酷な笑みが浮かんだ。「ママの形見を取り戻したいの? いいわよ」
彼女は片足を伸ばし、ダイヤモンドが散りばめられたピンヒールの先で床をコツコツと叩いた。「跪きなさい。私の靴底を綺麗に舐め回したら、あの石をあんたの物にしていいか、マルコに聞いてあげてもいいわよ」
部屋の空気が凍りついたように感じられた。
借り物の権力で有頂天になっているケイラを見つめる。私は彼女が期待したように震えたり、泣き出したりはしなかった。ただ……ひたすらに滑稽だった。
私の視線は彼女のイヤリング、ネックレスへとゆっくりと移動し、最後には興奮に歪んだその顔で止まった。
「私の家族から盗んだ品々を身にまとって、自分が王族にでもなったつもり?」
私は短く、冷ややかな笑い声を漏らした。「豚に真珠とはこのことね、ケイラ。本来の持ち主が泥棒に跪く? あなたにそんな価値はないわ」
「なんですって!?」
その侮辱は完璧に的を射た。ケイラの顔が深紅に染まり、斑模様を浮かべた。「この破産したあばずれが! まだ私を見下せると思っているの!?」
「その汚い手をどけなさい」私は一歩も譲らずに言った。「それは一度たりともあなたの物だったことなんてない」
「いいわよ! これが欲しいのね?」ケイラは狂気を帯びた目を光らせて笑った。「だったら持っていきなさい!」
彼女はそのピンクダイヤモンドをひったくり、近くにあった濁った酒のグラスの中に落とした。
そして、群衆が息を呑む間もなく、彼女は手首をスナップさせた。ダイヤモンド、灰、そしてアルコールが混ざり合った不快な液体が私の足元にぶちまけられ、コートの裾を濡らした。
「あら、手が滑っちゃった」ケイラはわざとらしく息を呑み、口元を覆い隠したが、その目は悪意に踊っていた。「でも、ゴミはドブの中がお似合いよ。あなたと同じようにね」
それは、母が私に残してくれた最後の品だった。
台無しになった自分の靴を見つめていると、私の理性を繋ぎ止めていた細い糸が、ついにプツリと切れた。部屋の喧騒が消え去り、代わりに耳の奥で血が逆流するような轟音が鳴り響く。
この世界で、ヴァンチェッティを侮辱した代償として支払える通貨はただ一つ――血だけだ。
警告もなしに、私は動いた。
一歩踏み出し、左手でケイラの髪を鷲掴みにすると、その頭を乱暴に下へと引きずり下ろした。
「きゃあ――あんた、狂ってるの!?」
無理やり体を折り曲げられた彼女の顔面に、私の右膝が容赦なく叩き込まれる。
ゴキッ。
軟骨が砕け散る、吐き気を催すような鈍い音。
「おいおい! あいつ、死にたいのか!」
見物していたマフィアたちは同情するどころか、闘犬を囲む観客のような病的な狂乱状態に陥った。
「見ろよ! あいつ、本当にマルコの女に手を出しやがった!」
「こいつは傑作だ。今夜は誰かが切り刻まれて犬の餌になるぞ!」
「おい、マルコがあいつの皮を生きたまま剥ぐに決まってる! 動画を撮れ! これがヴァンチェッティ家の最後の舞台だ!」
その野次がケイラを怯ませることはなく、むしろ彼女を勢いづかせた。
吹き出す鼻血を押さえながら、私の家族に対する群衆の罵声に煽られ、彼女の恐怖は制御不能な悪意へと変貌した。彼女は唸り声を上げながら顔中に血を塗りたくり、再び私に飛びかかってきた。
「聞こえたでしょ? 私は指一本動かす必要なんてないのよ! マルコが来たら、あんたの全身の皮を――」
「だったら、来させればいい」
私は彼女の不器用な爪を横にステップしてかわし、その勢いを利用して体を回転させ、重い裏拳を繰り出した。
それは彼女の顔の側面に完璧に決まった。その衝撃でケイラの体は回転し、ガラスのショーケースに背中から激突すると、まるでボロ人形のように床へと崩れ落ちた。
だが、それだけでは足りない。
無表情のまま、私は一歩前へ進み、彼女の喉元にヒールを振り上げた――
ちょうどその時、雷鳴のような轟音と共に、両開きの扉が蹴り開けられた。
騒がしかったホールが、一瞬にして静まり返る。
入り口から、低く、無関心な声が響き渡った。
「そこまでだ」
