第24章

夏目南が退職手続きをしに来たとき、エミはまるで命綱にでもすがるみたいな勢いで駆け寄ってきた。こんなに愛想よくされたのは初めてだ。

「夏目様! ずっとお待ちしてました。来ないのかと思って、ひやひやしてたんです」

その熱量がむしろ居心地悪い。夏目南は、彼女の笑顔に視線を迷わせた。

「新しい会社のほうで手が離せなくて。人事部の人は揃ってる? 退職届、周防様のサインはもう?」

エミは夏目南の腕にぴたりと抱きつくようにしながら、会社の中へ案内する。

「人事部長が待ってます。お昼も抜いて。夏目様が来たのに誰もいなかったら困るって」

夏目南は眉をひそめ、エミの腕をそっと外した。胸が腕に当たって...

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