第26章

離職届に並ぶ、遒勁なサインを見つめても、夏目南の胸に湧いたのは想像していたような狂喜じゃなかった。燃え尽きた灰のあとの、しんとした死寂だけ。

三年間の青春。周防律を卑屈なほどに愛していた、あの「自分」は――数枚の薄い紙の中で、完全に埋葬された。

振り返らない。

背後の男は、たとえこれからも縋りついてきたとしても、それは愛じゃない。ただ、彼女の人生を占有することに慣れていただけ。

離婚協議書についても。

周防律が本当に見ていないのか、見ていないふりをしているのか――もう、考えたくもない。

言うべきことは、全部言った。

夏目南はスマホを取り出し、朝日知也にボイスメッセージを送った。...

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