第29章

夏目南がまだ何も言わないうちに、江村茜が先に口を開いて取り繕った。

「南、園子はただ子どもっぽいだけで、言い方が下手なの。気にしないで」

夏目南は淡く彼女を一瞥する。

表向きは周防園子のフォロー。けれどその一言で、夏目南はますますはっきり理解した。――この人たちは同じ側に立っている。自分は、最初から向こう側だ。

視線を上げて運転席の周防律を見る。彼は前だけを見つめ、ハンドルを握る指先まで真面目だ。こちらの会話が耳に入っていないのか、入っていても興味がないのか、どちらにしても同じ顔をしている。

周防園子が夏目南を嫌っていることくらい、今に始まった話じゃない。

無駄な言い合いをする気...

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