第32章

夏目南は、周防律の問いに答えなかった。

いつも通りなら、痛みが出たら最後――特効薬だろうが鎮痛剤だろうが、効いてくるのは早くて1時間後だ。こめかみの脈がどくどく跳ねるのを押さえながら、彼女はベッドの縁に腰を下ろす。

「医者、呼ぶか?」

具合が良くないのを見て、周防律がもう一度たずねた。

夏目南は苛立ちを隠しもせず、ばさりと横になった。

「……しゃべらないでくれたら、それでいい」

周防律の声が消える。

目を閉じた夏目南は、気を紛らわせるように頭の中で数値を延々と唱え続けた。痛みの波に揉まれながら――いつの間にか、意識が落ちた。

目を覚ましたのは、翌朝だった。

周防律は部屋にい...

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