第55章

夏目南はまだ眠りの底にいたのに、玄関を叩く音で無理やり引き戻された。しかも、最初は遠慮がちだったそれが、だんだん容赦なく大きくなっていく。

せっかく寝不足を取り返せると思ったのに、朝っぱらから起こされて気分がいいはずもない。こんな時間に誰が来るのか、見当もつかなかった。

この部屋のことは、知っている人間がほとんどいない。となると、朝日知也だろうか。昨夜、監視するとか何とか言っていた気もする。

朝日知也の顔を思い浮かべた瞬間、夏目南は胸の中の苛立ちを少しだけ押し込めた。

――言っておかなきゃならないことがある。

ドアを開けながら、彼女は先に声を投げる。

「こんな朝早くから来なくても...

ログインして続きを読む