第57章

夏目南は結局、教室の中には入らず、担任の先生から最近の様子だけを聞いた。

大崎先生が笑って尋ねる。

「今度も、入って顔を見ないのかい?」

夏目南はいつも通り首を横に振る。

「やめときます。あの子に必要なのは、たまに思い出したみたいに向ける優しさじゃない。私がちゃんとそばにいてあげられるようになったら、その時に会いに来ます」

大崎先生は小さく息をついた。

「君が持ってきてくれるお菓子、あの子はいつも嬉しそうに他の子にも分けてるよ。誰かに会いに来てほしい気持ちも、きっとあると思うんだ」

ガラス越しに見えるのは、教室の隅にちょこんと座る小さな背中。俯いたまま一言も発さず、形の歪な積み...

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