第74章

夏目南は本当は彼を部屋に入れたくなかった。けれど周防律は、明らかに事前に連絡を入れてから上がってきたのだろう。玄関をくぐるなり遠慮もなく彼女の横をすり抜け、まっすぐソファに腰を下ろした。

「まだ飯あるんだ? コンビニ弁当じゃないってことは……朝日知也、ずいぶん身を落とせるんだな。よく作って持ってくるのか?」

周防律の言い方が、どこか引っかかる。

夏目南は思わず笑いそうになって、彼を見た。

「やめてよ、その言い方。嫌味言うなら帰って。用件だけ言って」

周防律は鼻のあたりを掻いた。

「……別に。様子見に来ただけ。心配してる」

夏目南は肩をすくめるように笑う。

「見ての通り、元気だ...

ログインして続きを読む