第81章

周防律が目を覚ましたとき、頭の重さはまだ抜けきっていなかった。

目を閉じたまま寝返りを打ち、反射的に眉をひそめる。

こめかみに、細い指がそっと触れた。やわらかく押し揉まれるたび、じんとした痛みが不思議と引いていく。

――南が戻ってきたのか。ようやく、帰ってきてくれたのか。

いや、違う——。

周防律ははっと目を開いた。夏目南は行方不明だ。そんな彼女が、突然ここにいるはずがない。

視界に入ったのは、見慣れた顔だった。笑みが、じわりと頬に広がっている。

「律君、起きた?」

江村茜だ。ほとんど何も身につけていないに等しく、頬を赤らめながら、どこかぎこちない笑顔でこちらを見ていた。

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