第82章

ホテルを出ると、周防律はまっすぐ自宅へ戻った。

脱いだ上着を家政婦に渡し、そのまま部屋へ引っ込んでベッドに横になる。

初めて、はっきりと分かった。――自分と夏目南は、もう二度と「昔」に戻れない。

ぼんやりする頭を苛立ちまぎれに手のひらで叩く。自分と江村茜が同じホテルの部屋から出てくる映像は、すでに経済面のトップに載っていた。夏目南が見ないはずがない。こんなもの、彼女の離婚への歩みを早めるだけだ。

今さら認めたくはない。けれど、いつからだろう。自分は夏目南なしではいられなくなっていた。

夫婦になって三年。多くのことが、生活の癖になっていた。

たとえば今。二日酔いの朝なら、枕元には熱...

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