第84章

江村茜の反応に、周囲の視線が集まった。

鈴木様が訝しげに彼女を見るのに気づき、茜は自分の言い方がきつかったと悟る。慌てて笑みを作り、少し気まずそうに取り繕った。

「いえ、つまり……私たちの工程も改良しようとして、何十回も試験したんです。でも、もう伸ばしようがないってところまで詰めていて。たった1か月で代替技術が見つかるなんて、あり得ないと思っただけです」

夏目南は品よく微笑んだ。

「別に。1か月も要らないよ」

その一言で、江村茜の顔色がさらに悪くなる。

まるで、彼女の努力を足元で踏み潰すみたいに。――本物の天才は夏目南ただ一人で、自分が積み上げてきたものなど、才能の前では塵に等し...

ログインして続きを読む