第85章

ホテルの一室。

豊川守太郎の顔色は冴えなかった。ベッドの縁に投げ出すように腰を下ろし、露出の多いネグリジェ姿の女を見やる。その視線に、愛情は一滴もない。

――そして、彼の前に立っていたのは。

江村茜だった。

「説明しろ」

守太郎は指に挟んだ煙草の火を、サイドテーブルの灰皿に乱暴に押しつけて消した。沈んだ目が、茜を射抜く。

「このプロジェクトは、俺が先に特許を押さえさえすれば、向こう十年は防衛系の受注の喉元を握れるって話だったはずだ。なのに、どうして代替品が出てくる?」

江村茜はネグリジェの襟元を引き寄せ、首筋の生々しい赤い痕を少しだけ隠す。眉を寄せたまま、彼の隣にそっと腰を下ろ...

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