第109章 連絡

今野優空は、笑っているのに目だけが笑っていない顔で言った。そうして二人の行く手をさりげなく塞ぎ、車椅子は自分が押すと手を伸ばしてきた。

雪乃はわずかに眉をひそめる。内心では面白くなかったが、結局何も言わなかった。

この会議室を一歩出れば、もう人の目がある。車椅子を押す役目は、今野優空に任せたほうがいい。余計な噂を立てられずに済む。

何も口にはしない。けれど、その沈黙だけで彼女の意思は十分伝わっていた。

アシスタントは数人の後ろで、そっと一歩身を引く。できるだけ気配を薄くするように。

今野優空と松村理玖。どちらも一歩も引かない男だ。見ているだけで、胸の奥がひやりと持ち上がってくる。

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