第114章 危機

「安心しろ。あんな噂、必ず俺が抑える。お前は……お前は、ちゃんと治療に専念してくれ。な?」

雪乃は返事をしなかった。もう一度ベッドへ身を横たえ、慣れた手つきで、傷めたほうの足を厚いクッションの上へそっと載せる。

横向きにはなれない。今野優空の顔も、もう見たくない。だから顔を背けた。

今野優空は薄い唇をきゅっと結ぶ。雪乃が露骨に拒んでいるのが分かって、胸の奥が針でちくちく刺されるみたいに痛んだ。

彼は踵を返し、扉へ向かった。

扉を開けた瞬間、今野爺さんが陰った顔で廊下に立っていた。どれだけ聞いていたのか、鋭い目で今野優空を睨みつける。

「まずドアを閉めろ。雪乃の休みを邪魔するな」

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