第120章 熱が出る

今野爺さんが去っていき、雪乃はもう一度、自分で巻いた傷口を見下ろした。

見た目は不格好。けれど、しっかり締まっている。

この包帯は、いまの自分の心みたいだ――雪乃はそんなふうに思った。

唇をきゅっと結び、枕元のスマホに目をやる。

松村理玖から、気遣いのメッセージが来ていた。数時間前のものだ。雪乃が返さないものだから、立て続けに何通も届いている。

文面は、最初こそ丁寧な心配だったのに、途中から焦りが滲む問いかけに変わっていた。

いちばん新しいのは二時間前。中島晴美が詫びに乗り込んできた頃の時刻だ。

雪乃は時間をざっと計算してから、松村理玖とのトーク画面を開き、指先を軽やかに走らせ...

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