第123章 来るのが遅かった

人影をはっきり認めた瞬間、今野優空の顔色がすっと沈んだ。

雪乃の傍らに立っているのは、松村理玖以外にありえない。

二人の前には白衣姿の医師がいて、ベッドの上で身を丸め、高熱にうなされている萌花に、前かがみになって注射を打っていた。

細い針が幼い手の甲へゆっくりと入っていく。萌花の息はたちまち浅く速くなり、小さな眉はきゅっと寄った。痛かったのだろう。唇をへの字にして、かすかな泣き声を漏らす。

雪乃は慌ててベッドの縁に腰を下ろし、萌花の肩を抱き寄せると、背中をそっと叩いてあやした。

声も低く、やさしく。

「痛くないよ、萌花。もう大丈夫。お注射したらよくなるからね。お熱が下がれば、こん...

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