第13章 そそのかす

萌花はぱちぱちと瞬きをしながら、彼女を見上げていた。

中島晴美は小さく息を吐き、痛ましげに萌花の頭を撫でる。

「萌花……本当は言いたくなかったんだけど。変だと思わない?」

「変って、なにが?」

「そんな都合よくある? あなたが誘拐された直後に、ちょうどあなたのママの“知り合い”に助けられるなんて」

晴美は言葉を選ぶように続けた。

「ママが悪いって言いたいわけじゃないの。でも、あの人と……距離が近すぎる。あれは違うと思うの」

萌花は考えた。確かに、昼間のママのパパへの態度は、杉谷和樹に向ける柔らかさとはまるで違っていた。

「萌花ね」

中島晴美の声が、やけに優しい。

「ママ、...

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